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生涯の1曲と、「てんかい」と、Kのこと

2011年04月21日 08:08

迷人も書いていたが、近頃仲間内で、「生涯の1曲」という
遊びというか、お題が流行っていた。

ある夜、迷人、壱露と飲んでいるとき、
無人島に持っていく曲でも最期に聞きたい曲でもいいが、
人生のたった1曲を選ぶとすれば何か、という話になった。
洋楽でも邦楽でもインストゥルメンタルでも校歌でも童謡でもいいが、
とにかくたった1曲しか選べない。

オレはすぐに Eagles の曲を挙げた。
いつも語っている、モータウンともAORとも80年代ロックとも
まったく違うところがミソだ。
普段語ることはないのだが、ギターの泣きといい、
Donald Henley のセクシーヴォイスといい、
好きな曲なのである。何度聴いても飽きることがない。

迷人は Eric Clapton(Cream)の曲を挙げた。
迷人の場合はいつもの信念とブレがない。

壱露だけが即答できず、
「1曲なんて決められない」とダダをこねだした。
迷人とオレは、「それでも男か」「ガッカリだ」と、
壱露を責め立てる。

そして自暴自棄になった壱露は、
松田聖子の「チェリーブラッサム」を選んだ。
本当にいいんだな?と念を押したが、
(いえ、松田聖子がわるいわけじゃありませんよ)
それでいいと言う。

別の日に銀嶺に同じことを聞くと、
Boz Scaggs の曲を即答した。
奴はいつもの信念にブレがない。
なんせ「神様」と呼んでいるし。

また別の日、壱露、迷人、そして神保町に事務所を構える
弟分クリエイターH(迷人のギターの師匠でもある)と、
仕事が終わって飲んでいるとき、
壱露が「実は5曲選びました」と言いだした。
なに勝手に枠ひろげてんだよ(怒)!
まあせっかく選んだというなら、とりあえず、
話だけでも聞いてやろうじゃないか・・・。
これがまたクイズ形式(「洋楽」「邦楽」とか大きなところから
壱露がヒントを出していって、誰が最初に曲名を当てるかという)
にしたもんだから、意外と盛り上がってしまった。
いかん、「5曲」に空気が流れ始めている・・・。
壱露の5曲は、
・矢沢永吉「YES MY LOVE」
・Earth, Wind & Fire「宇宙のファンタジー」
・Glenn Miller「Moonlight Serenade」
・Elton John「僕の歌は君の歌」
・米米CLUB「浪漫飛行」
(順不同)
なんだ?松田聖子が入ってねえじゃねえか(怒)!

次にH。
つねづね、迷人は、「Hさんは絶対 Zeppelin の曲を即答するはず」
と話していた。Hは、なんせ迷人の尊敬するギターの師匠だから。
ところがそのときHは、
「う~ん・・・」と言ったまま絶句してしまった。
選べない、と・・・。
そしてしばらく経ってから、
「1曲に絞らなくていいんなら、まずこの曲入れてもいいかな」。
それは新しい車を買ったときとか、新居に引っ越したときとか、
そういう「スタート時」に必ずかける曲だという。
これもクイズ形式で盛り上がってしまった。
答えは ZOO(EXILE ではなく)の「Choo Choo TRAIN」。
Hとの意外性からクイズも難しく、盛り上がりましたね。
(壱露が最初に正解)

もうこれで流れは完全に5曲コースだ・・。
迷人もクイズを出したくなったのか、
Clapton に続く2曲目をその場で選び、出題した。
その答えは、小学校のときにはまったとういう
寺尾聰「ルビーの指環」。
(これも壱露が最初に正解)
でも今、迷人は密かに、この2曲目を撤回したがっている。
あのときクイズ出したくて先走ってしまったか・・?
意外性という蜜に誘われて道を外してしまったのか・・?

それ以外はまだ誰も決まらず。

オレが2曲目を選ぶとすれば、それはきっと
Led Zeppelin の「天国への階段」だろう。
(迷人は略して「てんかい」と呼ぶ)
好きな曲であるというのは迷人に言っていたから、
もうクイズにならないので、書いてもいいや。
迷人とHという、Zeppelin フリークがいるため、
この曲をオレが挙げるのはなんとなく、
はばかられるところはあるのだが。

「天国への階段」にはこんな想い出がある。

高3の夏、学園祭のクラスの出し物で、映画を撮った。
この映画のことは今も忘れられない。
「もう一度」という学園もの。
このときオレは監督をやった。
ビデオではなくあえて8ミリフィルムで撮ったので、
何から何まで大変だった。

ロープジャンプだとか、男のシンクロ大会だとか、ロボコンだとか
アカペラのハモネプリーグだとか、バンドだとか、
「誰かと何かを一生懸命やった」という経験が
ずっと心に残る、ということは多いだろう。
普通は部活がそれになるんだろうけど、
オレは部活に対しあまり真面目ではなかった。
それに個人競技だし。
だからオレの場合は、この映画が、唯一、
誰かと何かを必死で頑張ったアツイ夏だったのだ。
(仕事は別としてだ)
主演のM子(今でも会う)や、
その後5年付き合ったMみ(今でも会う)とか、
その他いろんな奴ら(今でも会う)との出逢いも、
この映画がきっかけだ。

高3の夏休みということで、夏期講習に行く生徒も多い。
なんとかやりくりしながら、撮影し、撮影し直し、
現像に出し、そして編集、音入れ。
学園祭に絶対間に合わせなければならない。
男も女もずっと泊まり込みでもうぐちゃぐちゃだ。

今なら映像編集もPCでラクラクだが、8ミリフィルムは
小さなモニターで確認しながら、専用のカッターで切り、テープでつなぐ。
試写でうっかりフィルムが止まると、ライトの熱でメラメラ溶けた。
そしてまたやり直し・・。
そんな作業をやっている仲間のひとりに、Kがいた。
Kは、ときどき出演もし、編集もする。
しかし邪魔もする。

Kは陸上部だが、学園祭のギターミュージック部のライブに、
フィーチャリングゲストとして参加することが決まっていた。
奴はヴォーカルで、曲は Led Zeppelin「天国への階段」。
それを毎晩、編集をしている部屋で、大声で練習するのだ。
ヘッドホンをかけ、目を閉じ、
「And she's buying a stairway to heaven」とガナる。
「おまえなー、作業しないなら家帰って練習しろよ!!」
とみんなに突っ込まれる。
でもKは愛されているから、誰も本気では言っていない。
その頃は夏休みが終わって学校が始まり、もう夜しか作業ができなかった。
男も女も、朝家に帰り、着替えて、登校して授業に出る。
夜は眠くてしかたない中、徹夜で作業しているから、
Kの歌声も賑やかしにはなったし、
Kはいじられ役なので、いるだけでも場がなごんだのだ。

編集は予想以上に難航し、学園祭が始まってからも続いた。
初日、上映できず。2日目、上映できず。
学園祭最終日の朝になって、ようやくそれは完成した。

視聴覚室で上映。
どうにか間に合った。1日だけ。
たくさんのお客さんが来てくれた。
涙が出たよ。

夕方、体育館に行った。
Kのステージ。
それはもう、堂々としたものだった。
あれだけ練習したんだもんなあ・・。
改めて聴くと、Kの歌声は確かに素晴らしい。
フィーチャーされるだけのことはある。
静かな序盤から、激しいクライマックス、最後の
印象的なエンディングまで、見事に歌い上げた。

そして学園祭は終わった。
準備の間は、睡魔との闘いで飲む力さえなかったが、
学園祭以降はみんなけっこう飲んだな。
Kの部屋(奴は一人暮らしをしていた)でも飲んだし、
実家にも遊びに行った。

数ヶ月後。Kが進んだのは似合いもしない成城大で、
みんなに「柄じゃねえ」と突っ込まれる。
高校を卒業してもいじられキャラは卒業できない。
しかしそれは愛されている証しだ。

Kが白血病で亡くなった、という連絡が来たのは、
社会人になってからだった。
奴は、本当に階段を昇ってしまった。
白血病って・・成城大より柄じゃねえよ、K。
病気に柄も何もないだろうけどさ。
そんな突っ込みさせやがって。
おまえが悪いんじゃないとわかってはいるが。

今でも「天国への階段」を聴くと、あの高3の夏とリンクして、
ヘッドホンをして目を閉じて歌っていたK、
ステージで堂々と歌っていたK、
そしてその夏、まわりにいたみんなの姿を想い出す。

映画はフィルムからDVDに落とされ、手元にある。
その中で、高校生のKが今も笑っている。





<逃水>

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コメント

  1. 銀嶺 | URL | JalddpaA

    Re: 生涯の1曲と、「てんかい」と、Kのこと

    何?何なのよ?この突然のいい話
    ついに兄貴も小説を書く気になった?
    溜まってますよ 書かなければならない小説

    渾身の名作!眠れる天才コピーライターの書き下ろし!

    「源一との夏」

    「あの頃の僕はあの青空の彼方に・・・。」(予定本文抜粋)

    心あたたまるノスタルジィー!

    人はこんなにも暖かい!

    「祖父が僕に伝えてくれた・・・!」(予定本文抜粋)

    「読んでいて次から次へと溢れる涙を抑えることが出来ませんでした。(銀嶺)」

    読んだら君達は流れ落ちるその涙を抑えられない・・・。

    「奇跡は僕たちの中にある・・・。」そう思わずにはおられない 名作。



    逃水著!「源一との夏」こうご期待!

  2. 逃水 | URL | fEu2DYto

    Re: 銀嶺

    神社や源一の話はしたが、Kの話はしたことなかったか。

    「あの頃の僕はあの青空の彼方に・・・。」って何よ?

    あなたは「港区乃木坂 貧乏デザイナー物語」でも書いてくれ。

    daaも人生の一曲を決めたぞ。
    http://ameblo.jp/nico-delight/

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